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サザンコンフォート

                      グラス片手の四方山話

もう10年以上も前になる。
母親は脳幹部の動脈破裂で亡くなった。
脳幹、生体のベーシックな機能を制御している部分であるので、出血による脳圧迫と酸素欠乏から、正に脳死である。
例え開頭したとしても脳幹は深部、首に近い所にあるので、例えブラックジャックであっても論理的に手術は不可能であり、心停止するのは時間の問題であった。
症状が発現したのは前日の午後らしく、心停止は約24時間後であるから、如何に大量の出血が有ったか容易に想像は出来る。
それでも一筋の光だけは遮らないで欲しいというのが正直な所だと思うし、例え植物状態に陥ったとしても奇跡を祈りたいと思うものである。

脳死をヒトの死とするか、検討会ではまとめられなかったとの事で、今後国会で論議が展開される事になるのだろうか。
http://www.asahi.com/life/update/0521/001.html?t1
脳死判定をヒトの死とする目的は勿論臓器移植であるが、移植を待っている人達が多いのも事実であるし、静かに旅立たせてやりたいと言うのも、突然死を受け入れなければならなくなった、心の整理が付いていない親族の正直な気持ちである。
母親の場合は私が担当医に答えた。
「生前に望んでいませんでしたから」と。
ひとつ消え逝こうとしている命があり、それによって助かるかも知れない命もあるのも事実。
単純な計算で済ませれば2人より1人なのだが、1人の命は家族の命であるという背景も忘れてはならないのだと思う。
だが、ヒトの命は地球よりも重いという文言、裁判所でもよく引用されるが、患者の命は家族にも重いという現実面を無視する訳にもいかないのであるから悩ましい限りである。

身長150cm程の女性医師が髪を振り乱しながら、全体重を使って母親の脚や頭が反動で浮き上がる程に心臓マッサージを延々と繰返してくれた光景は一生忘れる事は無いだろう。
私はその時代、循環器を専門にシステムを作っていたので、悪い事に心電図の読み方を憶えてしまっていたのだ。
本当は女性医師に「もういいよ、先生寝てないんだろ?」と言ってあげたかったのだけど、医者としてはそうもいかない。
最後まで、つまり心停止まで延命の為の努力をしなければいけないのであるから、本当に因果な職業であるように思う。
まして動脈が破裂しているのであるから、心臓マッサージはより出血量を増やすという逆効果しか無い筈なのであるが、現行法ではそこまで細かく規定されていない。
あくまで心臓を停めない事が延命処置であるという事なら時代にそぐわない。

検討会で二案となったそれぞれの内容については発表されていないので何とも言えないが、脳死であるかの医学的判定については深く検討されるべきである。
少なくても脳波と脳幹反応の記録、心電図の記録は後々まで残しておくよう義務付けするべきである。
そうしないと新たな火種をばら撒くに事に成りかねないが、検討会では議論されたのか否か、今後の展開を意地悪く楽しみにしている。
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コメント

こんばんは。cyberさん、淡々と書いてらっしゃるけど、読んでいて辛くて動悸がはやまっちゃいました。
私も、たとえ本人が生前に望んでいたとしても、移植を受け入れることはできなそうです。だってきっと葬儀がおわった後までも、死を受け入れることができずに苦しみそうですから。
アメリカでウン十年ぶりに植物状態から覚めたという記事も何度か目にしていて、お金さえあれば、何十年でも・・・と望んでしまいそうな勢いです。(これは脳死とは別の症状なのでしょうか(恥))
女医さんの懸命さと救命のちぐはぐさが、いたたまれないです。

わにこさん こんにちは

思いつきで書いてしまったので、ましてコメントを戴けるとは思ってもいませんでしたので、「テーマは何だっけ?」と悩んでます(汗)
というか、扱いの難しいものなので逃げたいというのが本音なんですが、多くの人が同じ様に感じているのではないでしょうか。
頭で考える事と心で感じる事ではズレが有って当然ですし、移植への同意はあくまで本人の意思ですから尊重されるべきものなのですけど、もしその人がこの事について普段から家族と会話を持っていなかったらとしたら、、残された家族は相当にうろたえる事になるでしょう。
この際ですから十分に論議して貰いたいものだと思ってますが、また曖昧な結論付けになってしまうような気もします。

コメント有難うございました。

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  • 2005/06/28(火) 13:12:28 |
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